知っておきたい「色」のこと

公開日:2021.03.31

色の三属性って何だろう

色の三属性って何だろう

美味しそうな真っ赤なりんご、恐怖で真っ青な顔。色は当たり前のように目の前にあって、私たちは当たり前のようにその名前を知っています。大切な視覚情報であり、日常を快適かつ豊かにしてくれるものです。

そこにあるのが当然だと、意外と深く知らないもの。色彩心理学に興味を持ったり、漫画をフルカラーで描く程度には色を扱うのが好きな人間ですが、学生時代にカリキュラムの一環として色彩検定を受検・合格して以来、しっかりと勉強したことがありませんでした。基本的な知識や色彩感覚は身についているようですが、改めて色について少しだけ勉強をしてみたくなったので、今回は「色の三属性」と、色の名前および表現に注目してみます。

色の三属性とは、「色相」「彩度」「明度」の3つのこと。色について知るうえで、まず最初に理解しておきたいことです。感覚的に理解していて、誰かに説明するときになんて言えばいいか悩む、分かるけど分からない。そんな言葉を並べるのは、きっと、私だけではないはず。

色相と虹は同じ?

色相と虹は同じ? 色相環をチェック

もしかすると「色相」よりも「色相環」のほうが、聞き覚えがある言葉なのかもしれません。色相環とは名前の通り、色相を順番にリング状に並べたもののことです。人生のどこかでマンセル表色系(マンセルカラーシステム)やPCCSを目にしたことがあるのではないでしょうか。ちなみに色相とは、いわゆる「色味」のことです。色相の「相」は、人相とか手相と同じような意味と認識して問題ないと思います。

色の並びは大きく分けて、赤からはじまり、オレンジ、黄色、黄緑、緑、水色、青、紫と続き、赤に戻ります。日本で一般的に「虹の7色」として表現される色とは、色の分け方が少しだけ違っています。虹の色がいくつなのかは、実際にどう見えるかよりも文化的な違いから「どう捉えるか」で変わるようなので、色相と虹はイコールであるとは言い切れません

色相環で向かい合う色を「補色」と言い、補色同士の組み合わせにはお互いを引き立てる効果があります。双子などのコンビのキャラクターでイメージカラーが赤と緑のように補色同士の場合、単純な対比だけでなく、そういった狙いがあることも多かったりするのではないでしょうか。

彩度と明度はどう違う?

彩度と明度はどう違う? PCCSトーンマップで比較

「明るい色」「暗い色」という表現も、人により捉え方が異なる場合があります。彩度が高い色も、明度が高い色も、明るい色と言えるからです。

違いが比較しやすいよう、公式(財団法人日本色彩研究所)のものを参考に、PCCSトーンマップを作成しました。これを見て、あなたは「明るい色」はどれを指すと考えるでしょうか。Paleトーンくらい明るいと「淡い色」や「薄い色」と表現する方が多いと思います。「暗い色」も難しく、黒に近い「深い色」や「濃い色」と、日本の伝統色に多い「くすんだ色」や「渋い色」、このすべてを暗い色と表現する人もいることでしょう。

「彩度」と「明度」の違いはやや分かりづらく、ほとんど同じもののようにも感じられます。彩度は鮮やかさ、明度は明るさを意味するというのが一番簡潔な答えですが、それ以外の答え方をするなら「何に重きを置いているか」。白・黒・純色の混ざり具合のうち、純色の比率に重きを置いているのが彩度白と黒の比率に重きを置いているのが明度です。純色の比率が多いと彩度が高い、少ないと彩度が低い、というように表現します。

色を正しく伝えよう

色を正しく伝えよう

上でも触れましたが、色の感じ方や捉え方は様々。言葉で正確に伝えるためにも、赤でも色の三属性の違いにより「緋色」「朱色」「紅色」などと名前がつけられ、区別されています。しかし、同じ「マゼンタ」でもモニターで見るウェブカラーと、印刷物で見るプロセスカラーでは明らかに色が違い、名前でも確実に伝わるとは限らないのが現実。

デザイン制作などでの色指定ならば、カラーコードやRGB・CMKYの値などを伝えれば共有できるでしょう。では、日常会話ではどう伝えるべきなのか。緑なのに青信号って何だよ、と一度でも思ったことがある方なら、その難しさを想像するのは容易かと思います。今更、青りんごのことを「緑りんご」なんて呼べないでしょう。なんか語呂も良くないし。英語ではGreen Appleでも、やっぱりしっくり来る日本語の表現は「青りんご」なのです。

かつて存在していた「肌色(はだいろ)」。今は色の名前としては使用されなくなり、色鉛筆やクレヨンなどには「薄橙(うすだいだい)」や「ペールオレンジ」と表記されています。英語圏でも、あるときから「Flesh」は「Peach」に変わったそうです。ちなみに、私が学生の頃から持っているホルベインの色鉛筆の表記は、JIS慣用色名のひとつである「Jaune Brillant(ジョンブリアン)」。様々な理由から色の名前が変わっているので、特に表現に気をつけたい色です。

厳選お品書き

Graphic/Movie
2020.11.07

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さかがわまな[Mana SAKAGAWA]

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